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経営に役立つ情報2010年 バックナンバー

赤字マインドからの脱却
企業倒産は、人間の悲劇であり社会悪です。「民事再生法」や「会社更生法」などによる法的整理や「私的整理に関するガイドライン手続き」や「中小企業再生支援協議会スキーム」などによる私的整理によって会社再生が比較的容易になったとはいえ、社会に及ぼす影響は多大なものであります。昨今大きなニュースとなっているJALの再建について、債権者(債権切り捨て、新たな融資)、株主(株券は紙切れ同然)、社員(リストラ)、元社員(年金削減)、乗客利用者(利用制限)等利害関係者に及ぼす影響の大きさに驚いている方も大勢いることと思います。

「利益」(黒字)は企業存続の必要不可欠な条件ですが、これだけで十分条件ともいえません。ましてや赤字は必要条件も十分条件もクリアしていません。JALにして然り、問題外ということです。しかしながら日本の中小企業の7割ほどが赤字なのです。倒産予備軍が7割もあるということです。どうしてこんなに赤字会社が多いのでしょうか?

では肯定的に、黒字会社とはどんな会社か考えてみましょう。基本的には、次ぎの要件に合致している会社といえます。

1. 志しと思いが強い(ヒト)
① ビジョンが明確である
② 経営理念が社員に浸透し社員が結束している
③ 人間尊重の人(社員)中心の経営を実施している
2.技術・製品が優れており(モノ)、顧客のニーズに合致(社会)
① 取り扱っている製品やサービスに他社にない特徴がある(差別化製品)
② 時流にあった製品の取扱や開発を行っている(時流適応製品)
③ 製品・サービス品質重視と顧客中心の経営を実施している
3.財務基盤(カネ)が強固
① 収支(キャッシュフロー)と損益の効率、資産・負債・資本のバランスを図っている
② 無駄な支出や本業以外に投資や投機をしない
③ 財務重視による計画的経営管理を実施している

上記に合致していない会社は赤字になるリスクの大きい会社といえます。
上記3①損益効率の観点から言えば、損益計算式が売上-費用=利益ですが、これを売上数量×単価-費用=利益とも分解できますし、セグメント別に(A事業売上-A事業費用)+(B事業売上-B事業費用)=利益とも分解できます。また費用を変動費や固定費にも分解でき、更にはセグメント別にも分けて管理することもできます。このように企業の存続を真剣に考えれば、様々な観点から分析し黒字化を図ることができるのです。
赤字の原因を他に求めず、経営者はこれを自身に求め、①社員を幸福に、②良い製品やサービスを創造して社会を豊かに、③適正な利益(キャッシュフロー)を創出して財務バランスを図り黒字存続をもたらす信念で経営していくことが、赤字脱却の基本と心得ます。
簿記会計のはじまり
決算書(財務諸表)は、1年に1回企業の成績表としてまとめられるもので、経営者はもちろんのこと、株主、債権者、税務署など利害関係者にとって、重要な情報源であることはいうまでもありません。会計は世界共通の特殊言語といわれ、グローバルな現代社会において、数年後には世界共通の決算書が出来るようになりそうです(しかし上場会社の連結決算書のみの予定)。 それではその簿記会計の起こりはどのようであったのでしょうか?

渡邉泉先生の御著書(「歴史から学ぶ会計」)から簡潔にお話しすると次の通りです。 会計の母体であります複式簿記が産声を上げたのは、13世紀初めのイタリアであり、商業資本の発達と共に800年近い長い歴史を歩んできました。複式簿記は、13世紀の初頭、イタリアとくにヴェネツィア、フィレンツェ、ミラノなど北方の諸都市を中心に、商人たちの取引の記録として生まれました。取引の記録簿といっても、いさか諍いが生じた時の文書証拠としての役割で、現代のように正しい期間損益計算をするためのものではありません。「帳簿に公正証書と同程度の証拠性を付与するために、帳簿の冒頭に十字架を書き、次いで記帳の最初に、『神の名において、アーメン』と書いて、神に誓ってこの帳簿には嘘を書いていないことを第三者に証明している」(同書)というもので、トラブルを生じた時の証拠書類であったのです。

会計に関する現存する最古の勘定記録は、1211年のフィレンツェの一銀行家の記録した4頁の元帳だそうです(現在フィレンツェのメディチ・ロレンチアーノ図書館に保管)。当時の勘定元帳では、借方・貸方が左右に分かれているのではなく、上下連続に文書的に記帳されていたようです。この時は未だ複式簿記といえるような内容ではなかったわけです。徐々に商業資本の発達とともに、信用取引、組合企業、代理人業務等の発達をみて、14世紀の半ば頃までに複式簿記が完成したと言われています。13から15世紀のイタリア商人は、1回ごとの航海を計画し組合が結成され、そこで資本が調達され、航海が終わるとその都度利益を分配して清算していたのです。これは口別損益計算と呼ばれ、今日のような期間に区切っての損益計算方式ではなかったのです。なお、数学者ルカ・パチョーリが著した世界最初の簿記書「スンマ」(正式なタイトル名は『算術、幾何、比および比例総覧』)は1494年のもので、非定期的であっても今日の期間損益計算に近いものとなったようです。
財務リスク
ビジネスリスクは起業した瞬間から始まります。安全性の高い企業はあっても、リスクの全くない企業などありえません。
「リスク」という言葉は、英和辞典によれば「危険」とか「冒険」という意味であり、マイナスイメージで捉えがちですが、その危険や冒険を乗り越えていくことによる成功と成長というチャンスが内在しているのも事実です。企業リスクも同様に、潜在的なチャンス(利益)と潜在的な危険(損失)が同居するという2面性があることを忘れてはなりません。
さて事業が開始するとさまざまな取引が生じ、決算書に記載されますが、経営者はこれをコントロールして明日の経営につなげていかなければなりません。
財務リスクはこの決算書、とくに貸借対照表に表されます。ご承知の通り、貸借対照表の右側すなわち負債(他人資本)と純資産(自己資本)はお金の調達状況を表し、左側すなわち資産はお金の運用(投資)状況を表しています。
財務リスク(機会利益も危険損失も)は直接的には決算書の左側資産に生じます。
資産の運用次第で利益にも損失にもなるということです。

それではどのような危険損失の財務リスクがあるのでしょうか?

1.金融機関破綻に伴う無保証預金(ペイオフ制度)や為替変動にともなう外貨預金等
2.取引先倒産による手形不渡り等の不良債権
3.販売見込み違い等による過大な在庫
4.貸付金の未回収
5.生産見込み違い等による過大固定資産(遊休資産等)
6.土地不動産の値下がり
7.株式等有価証券投資に伴う時価の下落
8.本業以外への投資(ゴルフ利用権等)の価値下落
9.繰延資産に計上した開発費等の効果未発現

以上資産の危険損失を挙げて見ましたが、これ以外にもまだたくさんの財務リスクがあります。
しかしこれらは逆の見方をすればすべて機会利益になりうるものです。
ではどうすればよいか?
企業規模(資産等)が大きくなるにつれて、企業リスクとりわけ財務リスクが増大してきます。
例えば、取引(売上)規模の増大に応じて「運転資本」(運転資金)が膨らんできます。この運転資本は、{売掛債権+たな卸資産-買掛債務}で計算されますから、売上規模が増えれば当然この運転資本の値が増えるため、必要な資金が多くなるわけです。仕込んだ在庫が売れ残ったり、売った代金が回収されなくなったりすると一度に資金繰りが厳しくなるのです。
ですから運転資金の管理には十分気を遣わなければなりませんし、規模の増大ばかりを第一に考えると大きな危険が潜んでいるということです。また本業以外に投資をすることは最も危険で感心できません。
要は身の丈にあった堅実経営を施し、お金の使い方には慎重に考え、将来のチャンスに結び付けられるような適切な経営判断が必要です。
顧客の存在とマーケティング戦略
孫子の兵法に「彼を知り己れを知れば、百戦殆うからず。彼を知らずして己れを知れば、一勝一敗す。彼を知らず己れを知らざれば、戦う毎に必ず殆うし」という言葉があります。
この言葉は戦略のエキスというべきものです。
これを現代のマーケティングに当てはめれば、「顧客(市場)を知り、自社(強み、弱み)を知れば、何度戦っても敗れることはない」といえそうです。反対に「顧客(市場)を知らず、自社の強み・弱みも知らないようでは何度戦っても勝てるわけがない」ということです。
企業が生き残っていくためには、顧客のニーズや市場の動向、ライバルの動きを知って、自社の置かれている状況及び強みや弱みを認識して計画や戦略を策定していかなければなりません。
すなわち、顧客及び市場の動向や求めているものをよく観察し、これを知り、市場をセグメントしてターゲットを決め、自社の強みを当てはめていくということです。これが「マーケティング戦略」といわれるものであり、ドラッカーのいう「顧客の創造」を図っていくことにつながっていきます。

私どものグループに、「我が顧客」という短いメッセージがありますのでご紹介します。

 ― 我が顧客 ―
 創新グループの存続にとって顧客は不可欠な存在である
 なぜなら、顧客は我々グループの生命を支えてくれる唯一の存在であるからだ
 だから、我々は顧客を大切に維持しなければならない
 また、我々は顧客を創造しなければ発展はない
 そのためには、我々は顧客の期待に応えなければならない
 そのためには、我々は顧客のニーズ・ウォンツを知らなければならない
 そのためには、我々はその求めをスピーディに充足しなければならない
 我々が顧客の期待以上のものを提供し続ければ「信用」という報酬が得られる
 「信用」という報酬が獲得し続けられれば、「企業存続」という経営目的に叶う
 永遠に、我々はその真の報酬を求めて顧客を創造し続けなければならない
 結局、すべての顧客に愛情と思いやり(何をしてほしいか)を注がなければ、真の報酬(信用→存続)を求めることはできない
 顧客の存在が、創新グループ存続の土台であり生命の源泉である

顧客なくして企業の存続は語れません。
「顧客の存在」が企業の存続を支える一番の基であることを、真に理解する必要があります。
経営に役立つ情報(2月)「顧客満足を超えて」

「顧客第一主義」という顧客重視、顧客満足の経営に異を唱える企業はないでしょう。

経営理念の中に非常に多くこの言葉が載っており、顧客あっての自社の存立だから当然のことです。しかし当然といってよいこの道理が実践になかなか結びつかないのも事実です。経営者はお題目だけでなく行動に結びつけるよう工夫していかなければなりません。 まず「顧客満足」というのはどのような状態か考えて見ましょう。

顧客の期待する(価格に見合った)品質、機能、サービスなどが叶えられた時、顧客は「満足」という価値を取得します。人によって期待する品質度合いや内容が微妙に異なりますから、提供する企業の努力は並大抵のものではありません。「この程度でいいだろう!」なんて気を抜いたとたん、「負け」の烙印を押される現代の競争社会です。人間の満足はこれでいいという限界はないと心得た方がよいでしょう。経営の勝負は顧客(社会)が求める期待が何かを知り、その期待以下に裏切らないことであり、期待以上に裏切っていくことにあると思います。                 

では顧客の期待と評価は、どのような関係にあるか以下まとめて見ましょう。

1期待>評価・・・事後の評価が期待を下回った場合、顧客から「不満足」という烙印を押されます。大きく下回った場合「失望」そして「取引中止」という最悪の結果にもなりかねません。企業はスピーディに原因追及して改善に努めることが必要です。

2期待=評価・・・事後の評価が期待通りだった場合、顧客は「一応満足」します。しかし本当の信者(儲け)になってくれるかどうか疑問です。他社が同じ価格でもっと良い品質や機能を備えた商品を作ったら、他社に乗り換えられる可能性は十分あるからです。

3期待<評価・・・事後評価が期待以上の場合、顧客は満足を超えた「感動」を体験します。その体験は顧客の心底に残り、知人への誘いとなって伝播していきます。これが会社全体の理念であれば、本物の信者を創造していくでしょう。 米国のあるデータによれば、小売業・サービス業での顧客離れの起きた理由のほとんどが「従業員の態度が気に食わなかった」というものでした。

「感動」は現場で、ほんの小さなことから起きるものかもしれません。価格競争以上に非価格競争(従業員の応対など)が大事であり、リピーター客の維持こそ経営(営業)の原則であると心得たいものです。

経営に役立つ情報(1月)「新しい年を迎えて」
毎年恒例の日本漢字能力検定協会による昨年度の世相を象徴する漢字は「新」でした。新型インフルエンザ、民主党中心の新政権誕生等が国民の心に強く響いたのでしょう。

「新」という字は、刷新、革新など新たな希望をイメージさせますが、経済不況等により失業率や自殺率も高まって、大変暗い一年でした。新政権においては、米軍普天間基地移転問題は新年に先送りにし、2010年度税制改正においてもガソリン暫定税率廃止は民主党マニフェストに反して実質取りやめ等、革新さには疑問を感じるものとなりました。

さてこのような新政権の下で、我々民間企業はどのように2010年度を生き経営をしていくか、を真剣に考えなければなりません。結論的に申せば、政府はもとより社会、業界、取引先等自分(自社)以外の他に頼ってはならない、ということです。頼れるのは自分であり、自社の人財(・)を中心とした強みです。与えられた条件(社会の枠組み、税制、業界規制、法律、その他社会環境等)を前提として、自分(自社)のサイズ(二宮尊徳翁は「分度」といっている)に合わせて支出(費用)予算を組んで計画経営を推進し、一歩先を見た先行決算・先行経営の舵取りをしていかなければなりません。そのためには自分(自社)の強みや弱み、財務の状況や人材や製品、顧客、市場状況などを客観的に分析し、自社のポジションニングを適確に把握することが大切です。

今一度経営者ご自身、自社の状況をよく見て、自信を持って、強みは更に磨きをかけ、弱みは他社と連携し補完し合って、自社のサイズにあったフレームワークを創り変えることが大切と思います。今年のキーワードは「自立と連携」と心得ます。
「一切万事吾より出でて吾に還る」の言葉の通り、すべては自分が源であることを肝に銘じていただければ幸いです。皆様のご発展をお祈り申し上げます。
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