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中村義人教授のひとことゼミナ-ル2009年 バックナンバー

人々の視野は狭い その1
最近の社会経済情勢は、急激に変化し、経営はますます複雑化、多様化してきています。経営者の責任は株主に対する価値の極大化だけではなく、会社を取り巻くそれぞれのステークホルダー(利害関係者)の利益を考慮した経営が必要とされるようになってきました。経営者は、社会に対する幅広い責任を自覚し、行動することが必要です。このような責任を、CSR(Corporate Social Responsibility : 企業の社会的責任)と呼びわが国でも広がり始めています。

このコラムにおいては、この社会的責任の内容と企業経営への活かし方について連載していく予定です。 1972年に世界各国の科学者・経済人・教育者・学識経験者など100人からなるローマクラブが人類の危機レポート「成長の限界」を公表し、現在のまま人口増加や環境破壊が続けば、エネルギーの枯渇や環境の悪化によって100年以内に人類の成長は限界に達すると警鐘を鳴らしました。地球は無限であるという前提のもとでの経済社会のあり方を見直す必要があると論じました。その後、この破局を回避するために国連を中心とした国際的合意が進展し、各国の経済社会に大きな影響を与えることになりました。この報告書の冒頭に、次のような大変注目すべきことが述べられています。

世界中のすべての人々は、それぞれ関心事と問題をかかえていますが、人々の視野は空間的にも時間的にも異なります。そして、下記の図の中のどこかに当てはまります。大多数の人々の関心は、家族や友人などの身近なことや、明日のことなどごく近い将来のことにしか関心を寄せていません。空間的な広がりが大きいほど、また時間的広がりが長いほどその問題の解決に関心を持つ人は少なくなります。しかし、目先の部分的な問題の解決に全力をあげたが、より大きな問題で起こっていることがらによってその努力が水泡に帰することはよくあることです。そのようなことがないように、誰かが、空間的、時間的に幅広い問題を考えなくてはなりません。ローマクラブの関心は下記の図の右上方にあるといいます。

ローマクラブがいうように人々の視野はどうしても狭くなりがちですが、企業経営においても同じことがいえるのではないでしょうか。

人間の視野
(ローマクラブ人類の危機レポート「成長の限界」D.H.メドウズ他著、大来佐武郎監訳 ダイヤモンド社 昭和47年発行 P.5図1人間の視野 より作成)

東洋大学 経営学部教授・公認会計士・税理士 中村義人
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