

人類にとって、最大の課題の一つは気候変動の問題であり、地球温暖化の解決への問題です。この問題はあまりにも重要で大きいため、何をしてよいのか分からない経営者が多いと思います。これらの具体的な方策については順次説明していきますが、今回はもう少し狭い、身近なわが国の経済変化について解説いたします。
日本は、これまでの大幅な構造改革の進展により、経済のみならずあらゆる面において、大きな変化がみられます。経済システムは、規制緩和や規制撤廃による自由な市場経済への移行が進展し、不合理な規制が除かれ市場の健全な自由競争が促進されてきました。今後、企業収益、民間投資、輸出などは景気の波や新興国との関係はあるものの長期的には進展していくものと思われます。しかし、この市場主義経済は、一定の市場ルールが必要とされます。
ただ、このルールが今までにない新しい形で行われるということです。それは、「事前規制型社会」から「事後制裁・救済型社会へ」の転換といえます。ここで多くの経営者が勘違いをして、市場主義経済はなんでも自由であり、すべて市場の論理で決まるものであると思いがちですが、そうではなく、透明・公正な市場ルールに基づく自己責任原則のもとでの自由な競争・事業活動という前提があります。
例えば、新しい会社法においては、原則自由が会社の運営についての基本理念になっており、幅広い組織や仕組みが保証されています。これまで、会社法は私法として会社関係者の権利義務を調整するルールでしたが、今では会社法は、国の経済をサポートし、成長するためのインフラのひとつであるという認識に変わってきました。
法律の良し悪しが、経済・経営に影響を与えるということです。あらゆる経済活動に対して、ルールが事前に明示され、違反に対する制裁はどの程度のものかということも明らかにされていることが、自由な経済活動の前提条件になっています。このような社会を「法化社会」と呼んでいます。「コンプライアンス」という言葉も浸透して来ました。最近の社会的事件を見ますと、このような変化がよく理解できると思います。経済的な豊かさの源泉は、自然資源の有無ではなく、その国がいかなる人的な資源を育て上げ、いかなる制度を整えたかによります(「戦後世界経済史」猪木武徳2009年)。経営者はこのような変革を十分に認識する必要があります。
さらに、経済成長の源泉を企業内部の変化から見ますと、最近は、終身雇用モデルの崩壊や雇用の流動化が進み、企業再編等の進展により従業員や関係者間の信頼関係が希薄になっており、信頼関係に基づいた経営管理のあり方に限界が生じてきています。さらに、市場経済の進展により、株主、従業員、顧客、取引先などの多様なステークホルダーの要望を理解し、ステークホルダーに対する責任を適切に果たすことが経営にとってより重要なものとなっており、このことに対して、国内外の市場が敏感に反応するようになってきています。社会が会社に望むことが売上や利益などの経済的なことだけでなく、経済以外の環境や社会に対して貢献してほしいとする考え方が強くなってきています。このような時代ついてに、経済同友会は、「市場は、価格形成機能を媒介として資源配分を効率的に進めるメカニズムを備えているが、社会の変化に伴い市場参加者が「経済性」に加えて「社会性」「人間性」を重視する価値観を体現するようになれば、それを反映して市場の機能もより磨きのかかったものとなるダイナミズムを内包しており、市場は社会の変化と表裏一体となって進化するものである。」と説明しています(経済同友会『21世紀宣言』(2000年12月)より)。