高良 明
創新グル-プ代表
公認会計士 税理士
税理士法人創新會計 代表社員
仮説思考の経営
ビジネスマンとりわけ経営者など組織の責任者は、常に問題解決に迫られています。コンピューターの発展と共に、情報は洪水のように尽きることなく流れてくる時代の中において、情報が多ければそれで、適切な意思決定や間違いのない決断ができるでしょうか。
確かに経営の意思決定には、できる限りの情報や衆知を集め、問題の本質を捉えて解決策を図ることが大切です。オールマイティと考えられるコンピューターを駆使して多様な解を求めることは有用かもしれません。しかし内部・外部の情報の多様化と複雑化、本質を取り違えた情報検索の誤り、情報の真偽の確認、情報収集時間の経過による新たな状況変化などを考えると、果たしてそう言えるでしょうか?
将棋界のトップ棋士羽生善治氏の書物「決断力」の中に、「将棋を指すうえでの一番の決め手は、決断力」だと言い、また「直感の七割は正しい」「八十手ある可能性の中から大部分(七十七から七十八手)を捨てる」と言っています。八十手すべての先を読むことは不可能であり、プロの棋士でも十手先の局面を想定することは不可能のようです。すべての局面を想定した解は、到底コンピューターには追い付かないでしょう。
しかし棋士も経営者は限られた時間や資源の中で、差し手や経営の判断をしていかなければならず、時は待ってはくれません。仕事ができる人は決断が速いと言います。それは常に仕事のストーリーをもち、仮説思考で仕事をしているからです。場当たり的でなく、ゴールを前提にしたいくつかの仮説を描き、常にチェックしているのです。だから捨てるものと生かすものとの判断が適確で速く、たとえ判断が間違えても素直に「真知変え
(真に知って変える)して、誤解があっても「悟解」(悟って理解する)として素早く切り替えられるのです。想定外などと言わない「仮説思考」の経営が求められます。