高良 明
創新グル-プ代表
公認会計士 税理士
税理士法人創新會計 代表社員
見える化と見えざるか
「経営の見える化」など「見える化」に関する書物が書店に並び、まさに「見える化」はやり(流行)を呈している今日です。
情報の共有化を前提に、より分かりやすく明確に、具体化した経営管理スタイルはなるほど有効です。
しかしこの世の土台や基礎となる部分は通常目に見えないところに存在します。そこをしっかり認識しないと大変危険です。
昔の話にこんなものがあります。
「金持ちではあるが愚かな人がいた。他人の家の三階づくりの高層が高くそびえて、美しいのを見てうらやましく思い、自分も金持ちなのだから、高層の家を造ろうと思った。
大工を呼んで建築を言いつけた。大工は承知して、まず基礎を造り、二階を組み、それから三階に進もうとした。
主人はこれを見て、もどかしそうに叫んだ。『わたしの求めるのは土台ではない、一階でもない、二階でもない、三階の高楼だけだ。早くそれを造れ』と。」
建築の成り立ちのわからぬ者、社会や経営のわからぬ者は、このように見たものだけで愚かな考えをもつのです。
土台や基礎、基本といったものが見えず、常に表面しか物事が見えないため、本質の重要さを捉えることができません。
設計や土台、基礎がなくて建築物が成り立たないのに、愚かなものは視界に入るものしかわからないのです。
『基本が見えざるか!』と喝をいれたいぐらいです。とかく見えないところが大変重要で、これをおろそかにすることはできません。
いくら経営者がさまざまな「見える化」を図っても、基本がわかっていなければ何にもならないのです。
経営者は仕事や管理のルールなど基本や原理原則に関する事柄を自ら身につけ、これを社員にしっかり教育していくことが大切です。
千利休は「一より習い十を知り 十より帰る もとのその一」と基本の大切さを言っています。
その道の達人は、常に基本に帰ることを心がけていました。
我々も見えざる部分の重要さに気づいていきたいものです。