今月の言葉

今月の言葉(2月)第174回 「企業の品格」

 あけましておめでとうございます。年号が改まって2年目を迎えました。令和2年、皆様にとって実り多き、発展の年でありますよう心よりお祈り申し上げます。
 令和2年(西暦2020年)は子(ね)の干支ですが、元来「子(し)」は「ふえる」意で、新しい生命が種子の中にきざし始める状態を表しています。今年はオリンピックの年でもあり、令和の初期時代とりわけ子年にふさわしく、皆様にとって、新たな芽がふき創造発展につながることを祈念いたします。

 さて、今から十数年前に「品格」という言葉がはやりましたが、相変わらず品格のない政治家や実業家の多いのも事実で残念なことです。数学者の藤原正彦氏の著書「国家の品格」にあるように、武士道精神や日本人の持つ美しい精神、日本人の和とか利他の心、思いやりや助け合いの精神などが失われつつあります。政治家の体たらくぶり、企業においても不祥事がなくならずニュースに事欠かない日々ですが、この背景には、自分さえよければという利己主義や利益至上主義、拝金主義があるからだと思います。「自分さえよければ」という考え方は永続しません。なぜならば、人は他人からの支えや協力によって成り立っているもので、一人で存在しているわけではないからです。「自分さえよければ」の考えは「他人はどうでもよい」という傲慢で自分勝手なもので、人は離れていかざるをえません。それは品格のないことの証明で、私利私欲の狭量、卑猥な根性でいわゆる「下品」ということです。

 「品格」とは、気品や品位のことで、人に備わっている人格的価値、風格、気高さ、その人の風貌・態度・言行などに表れた気品などを言います。「品格のある人」は、風格があり、道徳道義にかない、温厚篤実で思いやりを尽くして人のためにならんという気概に満ちている人と言えます。「品格のある企業」も同様に、社会的使命感に基づき、道徳倫理の道を外さず、合法的な取引により近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」のごとく、また創新の「顧客よし、社員よし、組織よし」の三方よしの精神で適正な利益を生み出し、常に品質改良や開発の努力(創造と革新)を惜しまずやり続ける企業と言えます。
「自分さえよければ」「自社さえよければ」という発想は、自然に淘汰される運命です。

人に備わった人格は、生まれや育ちに由ることが大きく、また企業の品格も経営者の資質に由ることが大きいのですが、気づいた時から良き人格や企業の品格向上を目指して努力することが人の道であり、企業存続の道であることを自覚したいものです。そのために由るべき根本概念が「SERVICE」(サービス)です。サービスは単なる値引きや付加物を与えるような商業サービスというものではなく、「相手を思い、相手のためになるよう真心を尽くす」という利他の精神の意で、ビジネスを展開する上で欠かせない価値観です。ビジネスは利害が絡みますが、だからこそ相手のためになる努力と工夫が大切で、これを実践し続けることが企業の品格向上ひいては事業の存続につながるものと確信します。

(文責:高良 明)

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