今月の言葉

今月の言葉(3月)第164回 「サーバント・リーダーシップ」

 「荒海はリーダーシップを試す本物のテストである。穏やかな海では、どんな船長も良い船長だろう」これはスウェーデンの諺です。

 そもそもリーダーシップとは何か?本来、リーダーシップは肩書とは関係ないものです。小学生でも主婦でもリーダーシップを発揮する人はいます。リーダーシップを発揮した状態とは「『こうしたい!』という想いから始まり、それについて行く人がいる」という状態のことです。人が他人について行くには、2つの理由があります。1つは『こうしたい!』という行先が魅力的だということと、もう1つは「信頼」です。「信頼」は「能力」と「人間性」から生まれます。リーダーシップとは「能力」と「人間性」から発生する影響力のことと言えます。ビジネスの場において、能力(仕事が出来る事)は強い影響力を与えます。能力の低いリーダーでは成果は出ません。だからといって「人間性」に問題があれば、この人について行きたいという気持ちは芽生えません。ですからリーダーは「能力」と「人間性」を磨き続ける必要があります。業務の専門性や論理的思考力・コミュニケーション力などの「能力」の向上を図ると同時に、良好な人間関係づくりや人としての在り方(倫理観、相手への思いやり、誠実さ、言行一致など)という「人間性」を高めることを怠っては強いリーダーシップは発揮できません。

 また、これまでは強い力でグイグイ引っ張ることや強烈な個性で周囲を引き付けることがリーダーの特長であるとイメージされてきました。もちろん、それは間違いではありませんが、近年ではそれとは異なるイメージのリーダーが組織を成功へと導いているケースが増えて来ているのも事実です。全てを決めて実行させるトップダウンの「君臨型リーダー」から、個人を尊重しやる気を出させる「サーバント(奉仕)型リーダー」へ変化しているとも言えるでしょう。これまでは、リーダーがVISIONや目標を明確にすることを主に強調されて来ましたが、サーバント・リーダーシップは、その実現に向けて推進してくれるメンバーへの奉仕、つまりはリーダーとフォロワーの関係性にフォーカスすることが要となります。具体的には、
 ①個人を尊重する…それぞれの個性や価値観を大切にし、支配ではなく尊重する
 ②VISIONへ導く…達成することが互いに有意義で共有できる魅力的なVISONを打ち出す
 ③サポートする…リーダー自らメンバーに貢献し互いに良くなるように尽くす
 ④持てる力を引き出す…それぞれの才能を開花させ最大限に発揮させる
 ⑤個人の成長へとつなげる…個人の成長が組織の発展であり、組織の発展は個人の成長につながる
の5つに注力することです。これからのリーダーは「能力」と「人間性」という本質を磨き続けながら、時流に合ったリーダーシップを学び実践しなければ「荒海」を乗り切ることは難しいでしょう。

 「大統領や総理大臣、社長や部長がもっとリーダーシップを発揮してくれたら…」「問題を解決するのは上司の責任だ」「なんで会社は何もしてくれないんだ」などと、私たちは状況の悪さの原因をトップやリーダーが無能だからだと思いがちです。いわゆる他責です。他責はリーダーシップとは対極に位置します。リーダーシップは肩書とは関係ありません。どの立場でも発揮できます。カリスマ的なリーダーを待ち望むのではなく、私たち一人ひとりがリーダーになる必要があります。それぞれのサーバント・リーダーシップの発揮が組織を魅力あるものにし、活性化へとつながるものと確信します。
           
(文責:齋藤貴之)

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