今月の言葉

今月の言葉(10月)第171回 根を培う

「根さえしっかりしていれば枝葉はどんなにゆれたっていいじゃないか」 みつを
相田みつを氏の詩の中で、私が気に入っている一つである。この“根さえ”とは、一体何だろう?
資本主義経済の中で、我々は毎日精一杯仕事をしているが企業は存続できるか淘汰されるかの二者択一である。今や70%以上の企業が赤字で黒字企業は30%である。又 国税庁の発表によると、企業が創業されて10年経つと5~6%だけが存続し95%が淘汰。20年経つとなんと0.3%、30年経つと0.025%(1万社に2.5社)だけが存続。30年が企業寿命説といわれるのも納得できる。

 戦後は物不足の為、需要が旺盛で供給を上回り、作れば売れた時代である。今や全くの逆で物あまりで供給過多である。消費者は商品・製品・サービス等々を徹底的に吟味し本物志向になっている。ごまかしは一切通用しない。いわゆる本物企業しか存続できない世の中なのである。では、本物とは何かである。本物の定義は沢山あると思われるが、私の考えでは、本物とは“基本が超一流”であるということである。芸事の世界、スポーツの世界、政治の世界、経済の世界、経営の世界、全てに基本があり、自分勝手な自己流・我流では一時は良くても長続きはせず、その道“超一流”のプロにはなれない。基本とは脈々と受け継がれてきた先人達のエキスである。人としてのあり方・生き方・考え方・哲学、その具体的なやり方・方法・行動等の二面の基本(あり方とやり方)があり、この二面の基本を鍛錬し体得することが本物への要である。

 企業経営における基本中の基本は「経営理念」である。我社が一体何の為に存在するのか、という我社の存在理由・存在する目的である。経営の第一ボタンである。ワイシャツのボタンをはめる時も第一ボタンをはめ違えると途中経過はよくても最後は必ず合致しない。これと同じように経営も経営理念という第一ボタンを間違えるといずれ悲惨な結果となる。上場企業・一流企業といえどもこの第一ボタンをかけ間違えて世の中の辛酸を味わっている企業が少なくない。
(例 レオパレス21、スルガ銀行、かんぽ生命、日産自動車…)
 立派な理念をうたっているが、それは建前で本音はいかに儲けるか(客をごまかしてでも)が現実である。世の中に、お客様に喜んでいただき貢献するという理念(目的)をうたっていながら、それとは真逆のことをしている企業が多いのにはびっくりする。
人間は水を飲まないと生きていけない、しかし水を飲む為に生きているのではない。
企業は利益を出さないと存続できない、しかし利益を出すというのが真の目的ではない。
 
 不易流行ということばがある。不易とは、変えてはいけないもの、変わらないもの、流行とは時流に合わせてどんどん変化させていくもの。この不易流行が逆になると企業経営は淘汰の道にまっしぐらである。変えてはいけないものをコロコロと変え、変えなくてはいけないものを全く変化させない企業が多く、30年も経つとほとんどの企業が淘汰されるのが当たり前である。
今一度、経営の原点である不易流行を確認し、先ずは不易という基本・基盤・根をしっかりと地中へ深く広く培うことが何よりも重要である。
 この理念・目的・存在理由という不易の根っこが社風・文化になれば枝葉がどんなにゆれたって大丈夫。この理念・目的・存在理由という不易の根っこを培うのが一人一人の自分、この私であるという考え方・生き方が“自分が源泉”ということだ。全員で根を培おう。

       
(文責:高良 高)


  

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