今月の言葉

今月の言葉(12月)第161回 「マインドフルネス」

 今年10月7日に行われたシカゴマラソンで、大迫(おおさこ)(すぐる)選手(27歳)が日本新記録を更新しました。インタビューのとき、「走っている間、何を考えていますか?」と問われ、大迫選手はこう答えました。「走っているときは何も考えないようにしています。考えるとそれだけエネルギーを消費してしまうからです。マラソンレースはスタミナ勝負、スタミナを温存するために考えないようにしています」と。彼は、自分自身の足の動きに全身全霊の注意を向けていたのです。

 先日、「脳疲労が消える最高の休息法」(久賀(くが)谷(や)亮(あきら)著)という本を読みました。人間の脳の重さは、体重の約2%といわれています。脳はどのくらいのエネルギーを消費しているかというと、一日の全消費エネルギーの20%程度だといわれています。脳は、重さが約2%なのに20%のエネルギーの消費が必要な“大食漢”なのです。脳疲労が慢性化すると、あらゆるパフォーマンスが低下します。脳の疲れさえコントロールできれば疲労感に悩まない人生が手にはいることになります。
 脳には脳ならではの休息法があり、その名をマインドフルネスといいます。マインドフルネスとは、一種の瞑想であり、評価や判断を加えずに“いまここ”の経験に対して能動的に注意を向けること、だそうです。大迫選手はこのことを理解していたので、エネルギー消費を抑えるために、足の動きに能動的な注意を向けていたのでしょう。

 マインドフルネスをしている人や企業には、非常に著名人や有名企業が多く、個人では、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏、テニスのノバク・ジョコビッチ氏、サッカーの本田圭佑氏、企業では、グーグル、フェイスブック、ヤフージャパン、NTTなどがあげられます。
 米国の医療保険大手エトナでは、全社でマインドフルネスを導入した結果、社員のストレスが3分の1になり、さらに従業員の医療費が大幅に減少し、一人当たりの生産性が年間約3000ドルも高まったというのですから驚きです。その効果は、ストレス低減、雑念の抑制、集中力・記憶力の向上、感情のコントロール、免疫機能の改善に及ぶとされています。

 グーグルの社員研修に取り入れられている方法に、「体の動きやそれに伴う感覚の変化に注意を向ける」というものがあります。私も最近通勤途中に呼吸法や瞑想しながら手脚の筋肉・関節の動き、地面と接触する感覚に注意を向けるトレーニングを試し始めました。注意を向けている間は不思議と雑念が生じません。
 私は現在会計事務所に勤務しており、毎日お客様の貴重な数字に取り組んでいます。お客様の多様なニーズにお応えするため、休憩時間にこのマインドフルネスを上手に活用し集中力や生産性の向上を図り、わが社の経営理念に基づいたより良い仕事をお客様に提供し続けていきたいと思います。

(文責:鶴田則之)

バックナンバーはこちら