今月の言葉

今月の言葉(11月)第160回
「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)

 2018年プロ野球セントラルリ-グは、広島カープが球団史上初の三連覇を成し遂げました。同球団は大金をはたいてFA補強をすることはせず、ドラフトでも目玉といわれる選手に執着しないで、選手も指導者も自前で育ててきました。同球団は「 カ-プ女子」という言葉も生まれる程の人気球団となり、ここ数年来、豪雨被災に見舞われた地元広島に力を与え続け、復興のシンボルといわれています。
 2016年(三連覇の最初に優勝した年)のオフに引退した黒田博樹投手は、同球団の精神的支柱として、「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)という言葉を座右の銘に投げ続けてきました。「耐雪梅花麗」は西郷隆盛の言葉で、その意味は「梅の花は冬の厳しい雪や寒さに耐え忍ぶからこそ、初春に美しく花を咲かせ、かぐわしい香りを放つ…人生にたとえると、人間は苦難や試練に耐え、それを乗り越えた時に大きく成長出来る」と解釈されています。この言葉は、明治維新後の激動の時代を困難に負けることなく強い心をもって生き抜いて欲しいと西郷隆盛が甥に詠んで送ったもので、けだし名言です。

 元広島カ-プの黒田博樹投手は、上宮高校時代では三番手投手の補欠でしたが、その時にこの言葉を知ったそうです。専修大学に進学してからもこの言葉を糧に厳しい練習を重ねましたが、大きな話題を呼ぶ投手には至りませんでした。しかし、ドラフト二位で広島カ-プに入団してからも自分を信じて努力を怠らず、当球団のエ-スに昇格し、メジャーリーグに移籍した後も「自分は修行にきている」といって努力をし続け、その活躍は目覚ましいものでした。その結果、ニュ-ヨ-クヤンキ-スから20億円超のオファ-をされたにもかかわらず、それを断って古巣広島カ-プに戻ってきました。「ここまで来られたのはカ-プのお蔭、また日本でやるならこのチ-ムしかない」と言って渡米した時のこの約束を守ったのです。メジャーリーグが桜ならば、彼は耐え忍んで素朴に咲く梅の花のようにこの言葉に生き、日本中を感動させました。

 人は生きていく中で様々な困難に出会います。あまりにも理不尽な状況に怒りが収まらない時や、思いがけない事からトラブルに巻き込まれたり、予期せぬ事態に陥ったりして、人には言えない苦しみや悲しみを抱えることで心が折れそうになる時が幾度もあると思います。私自身は黒田博樹投手の様にこの「耐雪梅花麗」という言葉を忘れずに、苦難や試練を耐えて乗り越えれば、きっと大きな成長が待っていると信じて人生を歩んでいきたいと思います。

(文責 福岡直也)

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