モンパリ税務会計通信

第13回 デモの引き金となった燃料税の増加とは一体何?

Bonjour! こんにちは。モンパリの Miyoです。
定期的にフランスの税務会計についてお伝えしています。

11月〜12月前半にかけてパリ市内で抗議デモが行われましたが、その引き金となった「燃料税の増税」についてお伝えします。
日本のテレビでも報道されていた「黄色いベスト運動」と言われるフランスの抗議デモ。これは、11月17日に始まり、約4週に渡って毎週土曜日に実施されました。12月1日には、フランス全土で約13万6千人が参加するという大規模なデモとなりました。凱旋門周辺には黄色いベストを着たデモ隊が数千人集結し、警察と衝突しました。デモの一部は暴動化し、車や店舗は破壊され、街中は催涙ガス、発炎筒などの煙に包まれました。
世界で報道されるまでの大きなニュースとなったこの抗議デモですが、このきっかけとなったのが、マクロン政権が実施した燃料税の増税でした。

それでは、1. 燃料税とはそもそもどういったものなのか、2. マクロンが増税を図ろうとした意図は何なのか、3. その増税になぜ国民は強く反対しているのでしょうか。

1. 「燃料税」とは?
燃料税は、ガソリン、ディーゼル、ガスなどの燃料の消費に対して課される税金で、フランスで2014年から開始されました。当該税金が設置された目的の一つには、温暖化対策防止の一環として、エネルギー消費を減らし、二酸化炭素排出量を減少させることにありました。当該税金が導入された2014年当初は燃料価格が低かったため、当該税金の存在に気づいていない人が多かったようです。

2. マクロン政権が燃料税を増税した意図とは?
マクロン政権になって、2018年に当該燃料税の増税を実施しました。2014年には放出される二酸化炭素1トン当たり7ユーロ課税されていたのに対し、2018年には、44.6ユーロまで課税されました(2020年までには65.4ユーロまで増税される予定でした)。当該増税の目的は、政府の財源確保のほか、地球の温暖化防止のため、ガソリン・ディーゼル車から電気自動車への移行を促進することなども意図されていました。

3. 国民が増税に反対する理由
燃料税が導入された当初(2014年)は燃料価格自体が低かったため(参照:2014年12月は50.5€/ Barrel)、課税の影響は低かったものの、2018年には燃料価格自体が高騰したこともあり(参照:2018年10月は86€/ Barrel)、増税のインパクトはさらに大きくなりました。このため、燃料税の増税に対し、反対する国民が増え、黄色いベスト運動と呼ばれるデモを引き起こすまでになったのです。
当該抗議デモを受け、マクロン政権は2019年に予定していたさらなる増税を見送ることを発表しました。
今後の抗議デモとマクロン政権、そして燃料税の行方については注目したいところです。

参照:
https://www.ecologique-solidaire.gouv.fr/fiscalite-carbone
https://prixdubaril.com
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/19-14.php

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【Miyoのプロフィール】
2005年公認会計士2次試験に合格後、某大手監査法人に就職。
2008年公認会計士登録。
2011年秋~2013年夏、フランス パリの大手監査法人へ出向し、現地の監査業務に従事。
2014年7月大手税理法人へ移籍し、国内税務申告と国際税務に携わる。
2016年2月より再び渡仏。モンパリ by Miyo としてパリから情報発信。
2017年4月より創新グループ公認会計士高良事務所の非常勤顧問に就任。

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