モンパリ税務会計通信

第8回 個人所得税の自己申告制度

Bonjour! こんにちは。モンパリの Miyoです。
今回はフランスの個人所得税の申告制度について少し紹介したいと思います。

日本では利子所得や給与所得等、特定の所得について、源泉徴収制度が採用されています。つまり、所得の支払い者である会社等(源泉徴収票義務者と言います)が、所定の方法により所得税額を計算し、 給与所得者に代わって国に納付する制度です。
この源泉徴収制度は、戦時中の1940年、当事のナチスドイツを見習って採用されました。またその後、1947年には、徴収額を年末に精算する年末調整制度も採用されました。
世界的に見ても、アメリカやイギリスなど、多くの国で源泉徴収制度が採用されています。

一方、フランスでは源泉徴収制度は採用されておらず、いまだに「自己申告制度」が採用されています。つまり、各給与所得者が自分で確定申告をし、直接税務署に税額を納めるという方法です。
給与所得者である納税義務者は、所定の申告用紙に従い、所得情報のほか、家族構成や 家族の収入金額等、詳細な情報を記載します。
納税義務者にとって手間がかかることはもちろんですが、それを確認する税務署側の負担も大きいことは容易に想像がつきます。
このため、オランド前仏大統領は、今までの自己申告制度を廃止し、2018年1月より、源泉徴収制度に移行する決議を下していました。しかし、これには企業側の大きな反対があり、今年5月にマクロン現大統領が就任してからも、議論が繰り広げられていました。
結局、源泉徴収制度への 移行を1年見送り、2019年1月に延期されることになりました。
企業にとっては、今まで必要なかった各従業員のより詳細な個人情報を収集する必要性が出てきて、移行には多くの負担がかかることが予想されます。また、 企業側の個人情報取り扱いの問題も出てきます。
また、源泉徴収制度に移行するには、企業側の対応だけではなく、現在のフランスの複雑すぎる税制を変えていく必要もあります。 このため、今後のフランス政府の税制改正の動きも注目すべき点になります。

参照:
http://www.ccijf.asso.fr/ja/news-france-hebdo/4677-actu-france-2017-11-14-02
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/aramashi2012/pdf/03.pdf
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/income/058.htm
https://www.service-public.fr/particuliers/actualites/A12058

今月のパリの写真:ディオール展。
クリスチャンディオールの70周年を記念して、今、パリの装飾芸術美術館では史上最大規模の ディオール展が開催されています。今年の7月から来年2018年1月まで開催されます。この展示には世界中からたくさんの人が訪れ、ディオールの華やかな世界に釘付けになっています。

ディオール展

【Miyoのプロフィール】
2005年公認会計士2次試験に合格後、某大手監査法人に就職。
2008年公認会計士登録。
2011年秋~2013年夏、フランス パリの大手監査法人へ出向し、現地の監査業務に従事。
2014年7月大手税理法人へ移籍し、国内税務申告と国際税務に携わる。
2014年秋フランス出向中に出会ったフランス人と結婚。
2016年2月より再び渡仏。モンパリ by Miyo としてパリから情報発信。
2017年4月より創新グループ公認会計士高良事務所の非常勤顧問に就任。

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