経営に役立つ情報

論語と経営(9)

(われ)()に三つ吾が身を省みる。人の為に(はか)りて忠ならざるか。朋友(ほうゆう)と交はりて信ならざるか。伝へられて習わざるか。』
(現代訳:私は毎日次の三箇条について己の身を反省する。第一に、他人のために事を謀った場合に、真心をもってこれに当たらなくはなかったかどうか。第二に、朋友と交際したとき、不信の言行はなかったかどうか。第三に、師から教えられたことをよく習熟しなくはなかったかどうか。)

人間は毎日人と会い、仕事関係やその他個人的関係において人と交わり、さまざまなコミュニケーションを図りながら生活を送っています。他人なくして自分がありえず、人と人との関係、交わりを避けることはできません。心理学者アドラーは、すべての問題は人間関係にあるとまで言っています。日常の生活の中において、真心をもって人と接したかどうか、誠実に接したかどうか、うそ偽りがないかどうかなど人生の根本を見なすことが大切です。

人間は、他人のためにならなくても自分のためならという「自利心」と、たとえ自分のためにはならなくても他人のためならという「利他心」との葛藤の中で生活しています。時と場合によって、また相対する人によって、自利心と利他心のどちらか現れるものです。たとえば、知り合いの人といるときは「利他心」が、そうでない場合には「自利心」が作用したり、好意を抱く人には「利他心」が、そうでない人には「自利心」が作用したりします。また何か良いことがあったときには「利他心」が、思い通りに行かないときには「自利心」がむき出しになるなど、人間の心は常に揺れ動いて現れるものです。

しかしそういう人間の性に対して、日々の真摯な反省の中に、自己の思考パターンや行動パターンを見出し、人間としてあるべき姿に少しでも近づく工夫と努力によって人間は成長していくものです。そこに他の動物には見られない成長の喜びや自己実現への歩みの喜び、そして生きがいを体感することができるものと思われます。
人間には夢があり、希望があり、それを実現せんとする意志があります。だからこそ苦悩の中にも喜びがあり、失敗しても挫けない強さがあります。今日一日、行いしことに悔いはないか、人々に喜びを与えたか、自分に偽りはないか、他人を傷つけはしなかったかなど自分なりの人生尺度をもって反省し、明日の糧にしたいものです。今年も残り1か月、今年を振り返り、皆様にとって来年がよき望年になるよう心より念願しております。

  • 高良 明
    創新グル-プ代表
    公認会計士 税理士
    税理士法人創新會計 代表社員

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